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〚雑穀物語14〛銘菓きびだんごのルーツを探す


『グレオとミレイの雑穀物語』
この物語は、古来から日本人の生活と密接に関わってきた、食の文化財ともいえる雑穀の価値と魅力について、正しく、わかりやすく広めるために生まれた、雑穀の真実に挑戦する、信実のヒューマンドラマです。
雑穀普及に取り組む一般社団法人日本雑穀協会から、雑穀市場の健全な発展を目的として、雑穀専門家、関係機関、関連する企業・団体等の協力をいただきながら配信しています。


登場人物紹介

グレオ
神奈川県出身、文学部の大学2年生。趣味は映画観賞とスポーツ観戦
。スマホが離せない少し優柔不断な次男坊。ひそかにYouTuberとして成功することを考えている。
ミレイ
料理と読書、そして雑穀が大好きな、東北の中山間地出身の女子大家政学部の3年生。雑穀エキスパート認定者。責任感が強い。グレオとは、カフェチェーンのバイト仲間。

『第14話』銘菓きびだんごのルーツを探す

ミレイ
「お店の豆まき始めまーす! 福はーうち、鬼はーそと、鬼はーそと、鬼はーそーとー!」


グレオ
「ひぇ~、いつまで、鬼は外が続くの、、、早く、福を、福を呼んでおくれ~。」

ミレイ
「きゃはは!、グレオくん、鬼のお面、とっても似合ってるよ、お店のフェイスブックにあげようかなぁ(笑)?」

グレオ
「え~、うっそ!、まっいっか、豆まき楽しいね。ところで、鬼というと、桃太郎、そしてきびだんごだね。そうだ、きびだんごって、漢字で書くと “黍団子” と“吉備団子” 、どっちなんだろう?って、岡山の親戚のおじさんが言ってたの思い出した。」

ミレイ
「そうよね、知らない人はいないくらい、全国的に有名な岡山の銘菓よね、きびだんごって。それで、岡山のきびだんごが今のお土産物のカタチになったのは、江戸時代の末期頃なの。」

グレオ
「へ~、もっと古いのかと思ってた。」

ミレイ
「もともと、黍で作った黍団子は、吉備の国の総鎮守、吉備津神社の神前に供えられていたの。それが参拝した人向けにも門前の店で売られるようになって、吉備津神社名物として江戸時代初期には、歌にもなるほど有名になっていたのよ。」

グレオ
「そうなんだ。」

ミレイ
「昔は、黍は日本各地で作られていて、黍で作ったお団子は日常の食べ物だったの。黍の粉を蒸して餡をつけたり、お汁をかけて食べてたみたいよ。それをもとに、江戸時代の終わりごろ、岡山城下の廣瀬屋さん(後の廣榮堂さん)によって茶席用の菓子として開発されたのが始まりで、また、旅の友にもなるよう、すぐに硬くならずに日持ちを良くするための工夫をしたのが現在の “きびだんご” の原型なのよ。それは、黍の代わりにもち米をメインに用いて、当時は貴重品だった上白糖と水飴を混ぜて柔らかくして、黍粉を風味づけに加えているカタチなの。今から160年以上も前の話ね。」

グレオ
「ほー。」

ミレイ
「この “きびだんご” は、原材料として黍がメインでないので、この時に “黍団子” が岡山のかつての呼び方、吉備の国の “吉備団子” になって、岡山銘菓の “きびだんご” が誕生したと考えられるのよ。」

グレオ
「なるほどね、岡山のお土産 “きびだんご” は、漢字では “吉備団子” が正しいんだね。」


ミレイ
「そうなるわ。だから、岡山の銘菓としての “きびだんご” には、黍を風味付けに使っているもの、黍は全く使っていないもの、昔ながらの黍をメインに使った商品など、いろいろとあるのよ。」

グレオ
「そうか、でも岡山のきびだんごは、なんでこんなに有名になったんだろう?」

ミレイ
「明治になってからだけど、岡山への行幸の際に明治天皇に献上されて、『日の本にふたつとあらぬ吉備団子むへ味はひに名を得しや是』とお褒めの短歌を賜り、岡山のきびだんごが全国的に有名になるきっかけになったの。」

グレオ
「うわー、すごいね。」

ミレイ
「それから、明治24年に山陽鉄道が岡山まで開通した時、廣榮堂さんは、それまで串刺しだったものから、駅で立ち売りしやすいように箱詰めの商品を作って大人気になったの。そして、明治28年、広島県の宇品港に日清戦争から帰還された兵隊さんに向けて、”日本一の吉備団子” ののぼりを立てて、『鬼ヶ島を成敗した桃太郎の皆様、凱旋祝に故郷へのお土産は “きびだんご”!』と大宣伝されたの。これが飛ぶように売れて、一気に岡山を代表する名物として全国へその名を馳せるようになったわ。」

グレオ
「商品力と販売力、廣榮堂さんの行動力すごいね。」

ミレイ
「それで、戦後になってからは、岡山県として桃太郎伝説ときびだんごを絡めた観光PRを強めてきたの。その後の山陽新幹線、瀬戸大橋の開通によって、岡山のお土産をアピールできる場も増えて、一気に岡山銘菓としての地位を確立されたのよ。」

グレオ
「そうか。それで、桃太郎&きびだんご=岡山というイメージが強いんだね。」

ミレイ
「そうよね、いつの時代も商品力と共に、宣伝、PR力は重要よね。でもね、北海道にもあるのよ、銘菓のきびだんご。」

グレオ
「えっ、そうなの? 教えて!」

ミレイ
「平べったい板状のきびだんご、知ってる? パッケージも “日本一きびだんご”って、桃太郎さんの絵柄なのよ。」

グレオ
「なんか、復刻版の駄菓子屋さんで見たことあるような、ないような。」

ミレイ
「でも、北海道のきびだんごの名前の由来は、黍団子でも、もちろん吉備団子でもないのよ、“起備団合”なんだって。」

グレオ
「きっ、起備団合!?」

ミレイ
「そう、北海道のきびだんごが誕生したのは、大正12年、関東大震災が起こった年なの。それで、北海道開拓時の助け合いの精神と関東大震災復興の願いが込められて『事が起きる前に備え、団結して助け合う』という意味から、“起備団合” として、名付けられたそうよ。原材料に黍は使っていないけどね。」

グレオ
「へ~、そうなのか、イヌ、サル、キジの団合だね。でも、日本語って語呂合わせがあって面白いね。黍団子、吉備団子、起備団合か。」

ミレイ
「そうよね、そもそも黍の呼び方も、黄色い実を意味する、“黄実” が語源とも伝えられているのよ。」

グレオ
「そこも、語呂合わせが由来なんだ。めでたし、めでたし。」

《解説》
毎年、桃太郎サミットが開催されるなど、日本各地に桃太郎伝説が伝承されていますが、岡山の伝説が最も有名なのは、きびだんごの開発と販売の歴史が大きく関係しています。良い商品を多くの方に認知してもらい、広く流通するには、商品力と共に販売力、PR力が必要です。雑穀は優れた栄養価や機能性、作物としての重要性など、とても価値の高い食材です。この優れた雑穀について、正しく認知を広め、多くの方に食していただけるために、様々な工夫と活動で取り組んでいきたいと考えています。

 

〚雑穀物語13〛雑穀の可能性を北海道から

★雑穀通信★ 国産雑穀情報交流の意義と役割

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