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〚雑穀物語2〛そば湯までおいしく


『グレオとミレイの雑穀物語』
この物語は、古来から日本人の生活と密接に関わってきた、食の文化財ともいえる雑穀の価値と魅力について、正しく、わかりやすく広めるために生まれた、雑穀の真実に挑戦する、信実のヒューマンドラマです。
雑穀普及に取り組む一般社団法人日本雑穀協会から、雑穀市場の健全な発展を目的として、雑穀専門家、関係機関、関連する企業・団体等の協力をいただきながら配信しています。


登場人物紹介

グレオ
神奈川県出身、文学部の大学2年生。趣味は映画観賞とスポーツ観戦
。スマホが離せない少し優柔不断な次男坊。ひそかにYouTuberとして成功することを考えている。
ミレイ
料理と読書、そして雑穀が大好きな、東北の中山間地出身の女子大家政学部の3年生。雑穀エキスパート認定者。責任感が強い。グレオとは、カフェチェーンのバイト仲間。

『第2話』そば湯までおいしく

グレオ
「年末といえば、そばだね。毎年、大晦日に3杯食べるのがマイルール。」

ミレイ
「グレオくん、おそば好きなの?」

グレオ
「うん、大好き。そばを食べると日本人で良かった~と思うよ。」

ミレイ
「でもね、グレオくん、そばって日本よりも外国の方がたくさん作られているのよ。食べ方もいろいろあるみたいよ。」

グレオ
「えっそーなんだ、そばって和食の王様で、日本のものとばっかり思ってた。」

ミレイ
「違うのよ、世界のそば生産を見ると、中国やロシア、ウクライナ、アメリカが多いよ。それぞれ日本の数倍から10倍以上も作られているそうよ。日本の年間そば利用量は、約13万トンで、そのうち約10万トンを外国から輸入してるの。」

グレオ
「へ~、日本だけでなかったんだ。ところで、そばを茹でた後のお湯をおいしそうに飲んでいる人って、結構へんじゃない? ラーメン屋でラーメンの茹で汁を飲んでいる人見たことないね。」

ミレイ
「何言っているの、グレオくん。おそばを茹でたお汁 “そば湯” には、おそばの栄養がたくさんあるの。ルチンといって、おそばを代表する栄養素が、そば湯に溶け出しているの。ビタミンCの役割を支えたり、血管を強くしたり、酸化防止などの効果が期待できる機能性成分なのよ。
そばの栄養をできるだけたくさんいただくために、最後にそば湯を飲むのが、昔からの知恵なのよ。おそばが好きなら、そば湯のことも調べてみたらどう?」

グレオ
「よし!スマホ先生に聞いてみよう。ピコピコ。なるほど!そうなんだ。でもルチンって、ビタミンPとかいう不溶性のビタミンだから、そば湯には溶け出していないっていう説もネットでいろいろ出ているね。」

ミレイ
「えっ!?、それは正しくないよ。おそばのルチンは、茹で時間の経過とともに、だんだんと量が減るって論文もあるし、そもそもルチンは、ポリフェノールの一種で、ビタミンではないのよ。以前は、ビタミン様物質として、ビタミンPとされていたけど、最近ではそのこともあまり言わなくなっているみたいよ。」

グレオ
「うっ、でもそば湯って色が少し黄色くない?」

ミレイ
「そう、その黄色い物質こそが、ルチンがケルセチンに分解されて溶け出している証拠なの。そば湯は、活性酸素消去能がとても高くなっていることも実証されているの。」

グレオ
「そうなんだ。何か、難しいけど、ルチンはそば湯にあるってことだね。もっとそばの学問も身につけよっと。」

ミレイ
「そうだ、グレオくんには、ちょっと専門的かもしれないけど、信州大学で30年以上もそばの研究をされてきた井上直人博士から、そばにまつわる民俗学から植物学、調理やおいしさまで、そばの科学が網羅されている本が出たのよ。」

グレオ
「いいねー、なんだって、そば食べるのは大好きだから、少し知識をもってうんちく語れるようにしようかな。」

ミレイ
「じゃあ、紹介してあげるね、この本「そば学」よ。普通の本屋さんでは見つけるの難しそうだから、ネットで入手するのが良いかもね。少し背伸びして読んでみて。」



グレオ

「ソバロジー、そばはなぜ人々を魅了し、おいしいと感じるのか? 何か良さそうだね!読んでみるよ。」

ミレイ
「読んだら、感想教えてね。」

グレオ
「OK!そうだ、ミレイちゃん、スマホでそばのこと検索していたら、ネットニュースで見つけたんだけど、そば湯までおいしいそばっていう商品が出ているみたい。今年、食品産業の発展に貢献したということで、食品産業技術功労賞を受賞されたそうだよ。」


ミレイ
「そば湯までおいしいって、いい名前ね。おそばはやっぱり、そば湯までおいしく楽しみたいよね。」

《解説》
そば湯の中には何が入っているのか。そばの打ち粉(そば粉や小麦粉)やそばのデンプンなどが溶け出して、そばを茹でたそのお湯は、だんだんと白く濁ってそば同士がくっつきやすくなります。そのため、茹で釜からそば湯を汲んで取り出し、減った分のお湯を足します。この取り出したお湯が「そば湯」として提供されています。この中に、そばに特徴的な栄養素である”ルチン”が溶け出しているのです。なお、その割合は、そばの加工状態や、茹で時間によっても異なります。
また、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「国立健康・栄養研究所」による、健康食品の素材情報データベースでは、ルチンはビタミン様物質であるビタミンPの一種で、ケルセチンと二糖類のルチノースからなるフラボノイドであり、水溶性の性質とされています。特にルチンを多く含むダッタンそばは、ルチン分解酵素の活性が高く、すぐにケルセチンに分解されて流れ出るようです。いずれにしても、そば湯までおいしくいただくことで、栄養的に完全な雑穀食品としての利用価値が高まるものと思われます。

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