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〚雑穀物語28〛腸管免疫機能と水溶性食物繊維


『グレオとミレイの雑穀物語』
この物語は、古来から日本人の生活と密接に関わってきた、食の文化財ともいえる雑穀の価値と魅力について、正しく、わかりやすく広めるために生まれた、雑穀の真実に挑戦する、信実のヒューマンドラマです。
雑穀普及に取り組む一般社団法人日本雑穀協会から、雑穀市場の健全な発展を目的として、雑穀専門家、関係機関、関連する企業・団体等の協力をいただきながら配信しています。


登場人物紹介

グレオ
神奈川県出身、文学部の大学2年生。趣味は映画観賞とスポーツ観戦
。スマホが離せない少し優柔不断な次男坊。ひそかにYouTuberとして成功することを考えている。
ミレイ
料理と読書、そして雑穀が大好きな、東北の中山間地出身の女子大家政学部の3年生。雑穀エキスパート認定者。責任感が強い。グレオとは、カフェチェーンのバイト仲間。

『第28話』腸管免疫機能と水溶性食物繊維

グレオ
「ミレイちゃんに質問します! 胃腸を守って免疫力を上げる “ムチン” が含まれている、ネバネバ食品は何でしょう?」

ミレイ
「えっ、グレオくん、もしかして、それって、、オクラや納豆、山芋のことを言ってる?」

グレオ
「そう、正解。スマホで免疫のことを調べてたんだけど、ネバネバ食品のムチンって胃や腸の上皮細胞の粘膜にあって、細菌やウイルスから守ってくれるんだって。だから、たくさん食べて、免疫力上げようと思っているんだ。」

ミレイ
「グレオくん、残念だけど、食品のネバネバ成分って、私たちの粘膜にあるムチンとは違うものなの。だから、ネバネバ食品を食べても、そのムチンの働きはしないのよ。」

グレオ
「えっ、えーーーー!、何それ? でも、ネットで探すと、栄養学の専門家って人も、ネバネバ食品の “ムチン” の効用について、たくさん書かれているよ。」

ミレイ
「そーなのよ、誤った残念な情報で困っているの。そのことを憂慮して、北里大学の先生から解説論文が出されているわ。ムチンは、動物界だけに存在するもので、植物のネバネバ食品にないことは、何十年も前の論文で科学的に否定されているの。栄養学の学校でも間違って教えていることもあって、外国では見られない、日本だけの困った現象みたいよ。」

グレオ
「そーなんだ。。なんか残念だけど、同じようなこと聞いたことがあるなぁ…。なんだっけ?」

ミレイ
「そう、ハトムギのタンパク質は良質だって、誤って使われ続けていることと同じ現象ね。科学的に否定されても、その形や見た目のイメージに合っているので、紹介、販売するのにアピールしやすいからね。」

※ 第10話「ハトムギタンパク質の真実」

グレオ
「ハトムギタンパク質の真実、そして今回は、ネバネバムチンの真実ってことだね。それじゃあ、そのネバネバ成分はいったい何なの?」

ミレイ
「ネバネバ成分は、食品によって違うんだけど、ガラクトースやラムノースなどで構成される多糖類や糖タンパク質で、水溶性食物繊維に含まれるわ。」

グレオ
「へ~、そうなんだ。ところで、水溶性食物繊維とその “本当のムチン” の関係って何かある?」

ミレイ
「あるわ。例えば、水溶性食物繊維の摂取量を減らしてしまうと、腸管感染症のリスクが上がることが研究で報告されているの。腸粘膜の上皮細胞にあるムチンは、細菌やウイルスを寄せ付けないように、バリアとして機能しているのよね。腸内細菌は水溶性食物繊維を餌にしてるんだけど、ある腸内細菌ではそのムチンも栄養源としていて、摂取する水溶性食物繊維が足りないと、ムチンを過剰に分解してしまい、バリア機能が低下して免疫力が下がってしまうそうなのよ。」

グレオ
「ほー、ということは、、水溶性食物繊維の多いオオムギや雑穀のごはんは重要だよね。じゃあさ、ムチンはないけど、山芋のとろろをかけた “麦とろごはん” って免疫力増強にいいの? あの粘りは、なんか効きそうな気がするけど。特に自然薯の粘りはすごい。」

ミレイ
「もちろんいいわ。オオムギの水溶性食物繊維は、β-グルカンといって、免疫力向上にも一役買ってくれる成分をとても多く含んでいるわ。小腸粘膜にあるパイエル板という免疫組織があって、その下の免疫細胞の樹状細胞やマクロファージが、β‐グルカンと結合して活性化するの。そしてサイトカインなどの情報伝達物質が分泌されることで、NK細胞やT細胞などが活性化して、免疫能が高まると考えられているのよ。」

グレオ
「すごい、すごい。」

ミレイ
「それに、山芋には、免疫に関係のあるビタミンCや消化酵素のジアスターゼも含まれているからね。スーッと身体の中に麦ごはんの栄養が溶け込むわよ(笑)。」

グレオ
「そうか、よかったー! 明日は、牛タンねぎしで3回おかわりしよっと。」

《解説》
新たな測定法の開発や研究成果により、栄養学の分野でもそれまでの常識が変わっていくことがあります。多くは、修正され、正確な情報に置き換わっていきますが、今回のムチンやハトムギタンパク質のように、その形状からイメージが優先されてしまい、長きにわたり、科学的事実の過ちが使用され続けていることもあります。正しく伝えていくために、特に専門家による情報発信は、より慎重に正確性を期する必要がありますね。

 《参考書籍》
もっとよくわかる!腸内細菌叢:健康と疾患を司る”もう1つの臓器” 福田真嗣 編著,羊土社
カラー図解 免疫学の基本がわかる事典 鈴木隆二 著,西東社

《参考サイト》
麦ラボ O-Mugi Lab.  代表者:青江誠一郎(大妻女子大学家政学部食物学科教授)

《参考論文》
丑田公規 (2019)「ムチン奇譚:我が国における誤った名称の起源」生物工学97(1):48-49.
津久井 学 (2003)「ヤマイモ粘質物の性状と構造の解析」日本食品保蔵科学会誌29(4):229⁻236.

 

〚雑穀物語27〛腸内細菌を育てて免疫力向上

〚雑穀物語29〛免疫と脳腸相関と生活習慣

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