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〚雑穀物語5〛あわぜんざいを食べたい


『グレオとミレイの雑穀物語』
この物語は、古来から日本人の生活と密接に関わってきた、食の文化財ともいえる雑穀の価値と魅力について、正しく、わかりやすく広めるために生まれた、雑穀の真実に挑戦する、信実のヒューマンドラマです。
雑穀普及に取り組む一般社団法人日本雑穀協会から、雑穀市場の健全な発展を目的として、雑穀専門家、関係機関、関連する企業・団体等の協力をいただきながら配信しています。


登場人物紹介

グレオ
神奈川県出身、文学部の大学2年生。趣味は映画観賞とスポーツ観戦
。スマホが離せない少し優柔不断な次男坊。ひそかにYouTuberとして成功することを考えている。
ミレイ
料理と読書、そして雑穀が大好きな、東北の中山間地出身の女子大家政学部の3年生。雑穀エキスパート認定者。責任感が強い。グレオとは、カフェチェーンのバイト仲間。

『第5話』あわぜんざいを食べたい

グレオ
「ミレイちゃん、雑穀ぜんざいをどうぞ。」


雑穀ぜんざい(ベストアメニティ)

ミレイ
「えー、どうしたの?」

グレオ
「この前、雑穀レシピ本をもらったお礼さ。バイトに来る前、同じビルにある自然食品店で見つけたんだ。日本雑穀アワード金賞受賞商品って書いてあったよ。」

ミレイ
「わーい!ありがとう。8種類の雑穀が入った雑穀ぜんざい、身体の中からあったまりそうね。さすが、私の好きなもの分かってきたね。」

グレオ
「もちろんさ、毎日”雑穀”について、聞かされているからね(笑)。」

ミレイ
「ふふっ。ところで、ぜんざいっていうとあわぜんざいが有名よね。グレオくん、知ってる?」

グレオ
「黄色い粒のアワやキビのぜんざいのことでしょ。」

ミレイ
「そうか。。。グレオくんから見たら、アワもキビも一緒なんだ。」

グレオ
「見た目も似てるし、どっちがどっちか区別できないから、どっちでもいいじゃん。」

ミレイ
「どっちでも良くなーい、アワとキビは、違うものなの。確かに粒は似ているけれど、穂の形は違うし、名前も歴史も全然違うの。あわぜんざいもアワを使うからあわぜんざいになるの。アワってとても上品で、繊細で、かわいい粒なの。」

グレオ
「そうか、じゃあキビはどうなの?」

ミレイ
「キビは、桃太郎さんのキビ団子のイメージもあって、力強くて、たくましい粒なの。だから、キビを使ったぜんざいは、きびぜんざいよ。」

グレオ
「そうなのか、ところでアワの穂ってどんな形してるの?」

ミレイ
「あのね、
ねこじゃらしって知ってる?」

グレオ
「知ってるよ。道端に生えている草のことだよね。小さいころ、友達とこちょこちょして遊んだよ。」


ミレイ

「そう、それ。アワの祖先は、ねこじゃらしなの。正式な名前はエノコログサっていうんだけれど、それが長い年月をかけて、アワという作物になったのよ。日本では、ヒエと並んで、日本最古の穀物なの。縄文時代から食べられていたんだから。ちょっと難しいけれど、県立広島大学生命環境学部の福永教授の論文を見ると、遺伝子解析研究も進んで、アワの起源や進化の過程がいろいろとわかってきているようなのよ。ほんと、アワって面白い、、でもね、、、」

グレオ
「でも、なぁに?」

ミレイ
「最近、国産のアワが足りていないようなの。アワの粒ってとても小さいでしょ。収穫も手作業が多くて、選別も大変で、収量もなかなか上がらず、農家さんがアワを作るのが大変で、作るのをやめてしまった方も増えているのよ。」

グレオ
「そうなんだ。アワって、国内でどのくらい作られているの?」

ミレイ
「特産種苗さんっていう、雑穀の栽培面積や収穫量をずっと調査してくれている団体があるのよ。その最新の数字を見ると、北海道は入っていないけれど、アワの栽培面積は48ヘクタール、収穫量は約51トンなの。キビと比べると半分以下で、とても希少価値が高いのよ。このままでは、本当にアワの危機なの。」

グレオ
「困るなぁ。日本のあわぜんざい食べられなくなるかな。」

ミレイ
「私だって困るわよ。だから、今、アワの主産地である岩手県では、一生懸命にアワの育種研究がされているのよ。岩手県農業研究センター 県北農業研究所っていう、日本で唯一雑穀のことを大規模に研究している、すばらしい研究機関があるの。そこでは、5~6年前くらいに、“ゆいこがね”というあわぜんざいにも適した黄色い品種のアワを開発したの。」

グレオ
「よし!スマホで調べて見よう、ピコピコ。見つけたよ!和菓子にも最適な黄金のもちあわだね、すばらしい!」

ミレイ
「そうなの、とても鮮やかな黄色で、有名な甘味処でも使われているのよ。」

グレオ
「へーそうなんだ。」

ミレイ
「さらに、さらにね、今ね、いっぱい取れて、機械化にも適した新しいアワの品種開発にも取り組まれているんだって。」

グレオ
「すごいねー!」

ミレイ
「でしょ。だから、どちらも小さな粒だけど、アワとキビは、きちんと分けて考えてほしいの。」

グレオ
「OK、よーくわかったよ。」

ミレイ
「わかってくれてありがとう。」

グレオ
「そうだね、やっぱりトンカツ定食は、鶏肉でなく豚肉でなくちゃね! チキンカツも好きだけど。」

《解説》
日本最古の作物でもあるアワ(粟)は、換金作物とされてきたお米と共に、重要な食糧として位置づけられてきました。全国各地に“粟倉”という地名が多く残っているのも、各地でアワを大切に保蔵して、生命をつないできたことを表しています。
アワは、穂の形や色が異なる、数多くの品種が存在しているのも特徴です。鮮やかな黄色品種のアワを使ったあわぜんざいも良いですが、各地で大切に種を継いできた、在来種の淡い黄色や白い色のアワで作るあわぜんざいもいいですね。
上品でほっと心から温まる冬の甘味として、日本のアワを使った「あわぜんざい」、長く育まれたアワの歴史を感じながら食してほしいものです。

 

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